荒木巍さんの作品

ハンガリー旅の思い出

2012年10月

旅行会社のツアーに 参加して、7月にブダペストを訪問しました。チェコ、オーストリアを旅行してから、続いてハンガリーに入りました。西ヨーロッパには何度か訪れたことがあ りますが、それに比べるとハンガリーは歴史の重みがそのまま残されているという点で、強烈な印象をうけました。この国を訪れるまでは、ハンガリーはヨー ロッパの国々の一つという程度の認識でしたが、ここは中央ヨーロッパの独自の伝統が残されているところということに気がつきました。

首都ブダペストはドナウ川を挟んで、丘陵地帯のブダ地区、歴史的な町並みのペスト地区が調和の取れた対比を示していました。
ブダ地区では、王宮、ゲッレールトの丘、漁夫の砦などの高台から、眼下のドナウ川を挟んでペスト地区の市街の美しいパノラマの眺望が楽しめました。観光船 やその他の船舶がドナウ河を行き交う様子は何時まで見ていても飽きることなく、旅の疲れを癒してくれました。

私たちはドナウ河沿いのホテルに宿泊しましたが、夜には王宮、河沿いの道、有名な鎖橋などが照明に照らされ て辺り一帯が明るく活気が感じられました。翌朝ホテル前から見たブダ地区の高台は河に迫るように立ちはだかっていて、陽の光の強い時期でもあって明るい朝 日に照らされた王宮や丘の風景も強烈な印象を残しています。

私が共感を覚えたのは、ブダ地区が木々に囲まれた中に王宮などの歴史的建造物が点在していることとは対照的 に、ペスト地区の旧市街の風情です。西ヨーロッパの多くの大都会では世界遺産などの歴史的な建造物が市内に遺されていても、その近辺は近代化が進んでし まってなんとなく街並みのバランスが崩れていることが多いような印象を受けますが、ブダペストでは、街全体がバランスよく旧来の伝統を受け継いでいる感じ がします。その代表的なものがヴァーツィ通りでしょう。この歩行者天国では通りにテーブルと椅子を並べたテラス式のレストランでゆったり食事を楽しむ地元 の人々や観光客、パプリカやワインを販売する食品店、伝統的なハンガリー刺繍などの衣料品店、ハンガリー土産品の商店、その中に聖ミハーイ教会などがあ り、その一つ一つが興味を引くものばかりで、その先の中央市場まで続いています。中央市場ではハンガリー特産のお土産をいろいろ買い揃えることができまし た。我々のホテルはヴァーツィ通りに近く、短い滞在日数の間に何度も出かけ、ハンガリーの雰囲気を楽しみました。初期の建設が1230年といわれる歴史的 な聖ミハーイ教会では、当日の晩にコンサートがあることを散策の途中で知りました。日本ではこのような体験はまず不可能であり、教会の入口で入場券を買っ て、夕食後にまた出かけて、礼拝堂での弦楽四重奏をたのしみました。礼拝堂のドーム状の天井が音響効果を高めて、楽しいひと時でした。地元の人も参加して 気楽に音楽が楽しめるのも、この都会の良さでしょう。夏はオペラなどはどこも休演中で、コンサートを楽しむ機会はあきらめていましたが、教会コンサートを 聞くことができたのはラッキーでした。市内の聖イシュトヴァーン大聖堂、聖ミカエル教会などでも定期的にコンサートが催されているときき、この都会での滞 在日数が少なかったころが悔やまれます。

有名な中央市場ではハンガリー特産のお土産がほとんど調達できました。美しい刺繍の手芸品、バッグ、衣料、種々の飾り物、パプリカパウダー、フォアグラな どの食品、有名なトカイワインのほかバーリンカ、ウニクムといった珍しい酒類は容量、種類が豊富で、お土産に好適です。またロシア産ですがキャビヤの缶詰 もリーズナブルな値段で販売されており、気楽に買い求めることができます。

一つ苦労したのは、通貨の問題です。ハンガリー通過は「フォリント」で市中ではユーロが使えないことも多いため、両替が必要です。短期の滞在で、どのぐら い消費するか見当をつけるのが難しく、空港などで両替する場合は、事前に経験者の意見もよく効いて、両替の金額を決める必要があります。買物を始め、珍し い経験も多く、どうしても出費が増える傾向で、追加で現地通貨を購入することになります。また、ハンガリーへ初めて旅行する人には最新の交換レートと現地 物価にも早く慣れるように旅行前に十分準備した方がよいと思いました。

全体的なハンガリーの印象はヨーロッパ旅行に慣れ親しんだ私にとって、新鮮で親しみやすく、是非もう一度訪れたい国です。そのときには首都ブダペストだけではなく他の都市、郊外、ぶどう畑などこの国の多様な文化に触れてみたいと感じています。