ハンガリーの首都、ブダペストの再発見

ブダ城、漁夫の砦、マーチャーシュ教会(聖母教会)、ブダ城ケーブルカー、ブダ城の迷宮、ブダ側のドナウ川岸、くさり橋、国会議事堂、マルギット島、英雄広場、ヴァイダフニャド城、ミレニウミ・フルダラッティ【地下鉄1号線】、ハンガリー国立歌劇場、聖イシュトヴァーン大聖堂、リスト・フェレンツ音楽院(ゼネアカデーミア)、ドハーニ通りジナゴーグ

ブダ城
Budai vár

石畳の小路を歩けば…
ハンガリーを治めた国王たちの居城だった「ブダ城(ブダ王宮)」は実際には周囲一帯にある、密集した歴史的建造物、興味深い博物館の数々、いくつものカフェやレストラン、入り組んだ石畳の路地、ドナウ川とペスト側の息をのむような景観を全て含むのです。
この地区の良好な状態を保つために決定的な役割を果たしたのは、1989年に世界遺産に登録されたことです。この地区の代表的建物としては、まず王宮です。15世紀マーチャーシュ王の治世の頃に最初の黄金期を謳歌しました。1541年オスマントルコ帝国によって占領され、その支配は1686年にハプスブルク家によって奪還されるまで続きました。こうしてオスマン帝国の後はハプスブルク家がこの地にやってきました。かつての町並みをもとにしてすぐに復旧工事が行われました。優雅なバロック様式をもつ現在の姿となったのは18世紀中頃でした。
第2次世界大戦後にもブダ城地区は復旧工事が行われました。ハプスブルク時代の建物を復元し、中世の路地や建物の特徴も残されました。王宮は何度も破壊されましたがその度に立て直されて、ゴシック様式とルネサンス様式による見る人を魅惑する土台とバロック様式の優雅さが混在しつつ、全体として素晴らしく調和した今の姿となりました。
王宮は現在ブダペスト歴史博物館[Budapesti Történeti Múzeum]、ハンガリー国立美術館[Magyar Nemzeti Galéria]、セーチェーニ国立図書館[Országos Széchényi Könyvtár]に活動の場を提供しています。ここからそれほど遠くないところに、ブダペスト最高の景観を望む『漁夫の砦[Halászbásztya]』があります。ここは実際には展望台であり、生演奏が行われ、すぐ隣にはマーチャーシュ教会[Mátyás templom]が建っています。この教会は700年近くの歴史を持ちます。現在はネオゴシック様式の外見をまとい、内部は神秘的な東方の雰囲気をたたえ、オルガン演奏のための素晴らしい音響も備えます。
ここブダ城ではブダ城国際ワインフェスティバルを始め民芸祭、パーリンカ祭りなどいくつものイベントが開催されます。歩き疲れた時にはブダペスト最古のツクラーズダ【甘味処の意】であるルスヴルム[Ruszwurm]や、現代的なカフェ・ミロやカフェ・ピエロで一息ついてはいかがでしょうか。もっと食べ応えのあるものをお求めでしたら、400年前のゴシック様式のテラスが自慢のアラバールドシュ・レストラン[Alabárdos Étterem]へどうぞ。


漁夫の砦
Halászbástya

完璧なる展望台
漁夫の砦はブダ城内のマーチャーシュ教会の隣にあり、城壁の上に19世紀に建てられたものです。シュレク・フリジェシュによって設計されましたが、その名に反して防御に使われたことは1度もありません。王宮の丘の斜面から砦まで幅のある階段が続き、踊り場の1つには竜退治する聖ゲオルギウス像のレプリカがあります(オリジナルはルーマニアにあるものです)。
階段を上りきったところに広場があり、漁夫の砦はその広場を囲むように立ち、中央には聖イシュトヴァーン王の像が立っています。漁夫の砦の上部へ上がれば、国会議事堂、ドナウ川とペスト地区が一望できる、まさに文字通りのパノラマがひらけます。また夜の眺望は格別です。
有料期間:3月15日〜10月15日 9:00〜23:00


マーチャーシュ教会(聖母教会)
Mátyás-templom (Nagyboldogasszony Templom)

ブダ城の宝石箱
複数の資料によると、この教会は最初のハンガリー王によって建てられたとされていますが、ゴシック様式あるいは13〜14世紀の建築様式が明らかに見て取れます。現在のネオゴシック様式の姿となったのは19世紀末です。この教会は王族や貴族にとって常に重要な教会でした。それは戴冠式や国王の結婚式がしばしばここで行われたからです。
現在でも上流階級の人の結婚式がよく行われています。その式場選択は納得できるものです。教会内部は壮麗で、まるで金色の宝石箱の中に入ったかのような印象を訪れる人にもたらします。中に入ったら、宝物庫とクリプタ【地下聖堂】、そして黒檀から作られた、黒のマドンナ像(イタリアのロレートにあるものを複製したもの)も、忘れずにご覧下さい。
建物を外から眺める時には、低い方の塔の頂上に立つ、指輪をくわえたカラスを探してみて下さい。これはマーチャーシュ王一族のシンボルでした。多くの展示物を擁する博物館という側面と共に、素晴らしい音響を備えた合唱やオルガン・コンサートの会場という役割も担います。


ブダ城ケーブルカー
Budavári Sikló

数分で頂上へ
ブダ城への便利なアクセスルートとしての王宮ケーブルカーは、1870年にはすでに蒸気機関により営業を始め、王宮の前へと乗客を運びました。しかし第2次世界大戦で被害を受け、とり壊されました。人々の願いに応えて1986年に再建された現在のものは、距離95メートル、斜面の角度48度の線路を上って乗客を王宮へと運びます。キャビンからはペスト側全景が楽しめます。
住所:Budapest, I.ker. Clark Ádám tér
営業時間:7:30〜20:00、時間中は連続運行


ブダ城の迷宮
Budavári labirintus

新しい発見の迷宮
ブダ城の地下にある迷路は大変興味深い場所であり、また世界遺産の1部です。地中にある洞窟が地下室で結ばれることでこの迷宮はできあがりました。かつては避難壕として、あるいは秘密の軍事施設として使われたこともありましたが、現在は博物館であり、イベントスペースとしても利用されています。団体でも個人でも観覧できますし、夜まで営業しております。夜には全ての照明が消され、ランプ1つだけを持っての観覧となります。珍しい展示を是非ご覧になって下さい。
「古代の迷路」と名付けられた部分は古代ヨーロッパの壁画複製や古代ハンガリーの歴史やかつて信仰されていたシャーマニズムなどに関する展示が常設されております。
Webサイト:www.labirintusbudapest.com
住所:Budapest, I. ker. Úri u. 9
営業時間:9:30〜19:30(ランプによる「闇夜の迷宮」は18:00より)


ブダ側のドナウ川岸
A budai rakpart

世界遺産の風景
ブダ側のドナウ河岸は世界遺産の一部であり、世界で一番長い護岸堤防です。この護岸堤防はブダペスト市内に1種の環状道路を提供しており、1日に何万台もの交通量があります。また景観にも欠かすことができないものであり、そのため市当局は道路の拡幅を禁じました。その立地条件はブダペストの最大の問題を引き起こします。すなわちドナウ川があふれた場合冠水し、通行止めとなってしまうのです。


くさり橋
Széchenyi Lánchíd

ブダとペストをつなぐ鎖
19世紀末の建設当時、これがドナウ川に架けられた橋として2番目のものであり、ブダペストで最初のものでした。当時これはセンセーショナルな出来事であり、ハンガリー人にとって真の奇跡でした。それは単にその美しさだけでなく、経済的な理由もありました。イギリス人T.W.クラークと、くさり橋とトンネルの間の広場にその名前を頂くA.クラークによって設計、施工されました。
くさり橋は、ハンガリー人にとって今日でも重要な、例えば「希望」のシンボルであり、愛されるが故に様々な逸話があります。特に柱の根本にいる4頭のライオンに関するものが多く見られます。例えば、雨が降ったらライオンたちが引っ張って橋をトンネルにしまうとか、舌がないとか、本当かどうか確かめてみてはいかがでしょうか。夜の散策でもぜひご覧になって下さい。また、くさり橋の名称となった自転車のチェーンのような巨大なピンとプレートで構成された構造を間近にご覧ください。特殊な照明によって、ドナウ川の上に浮かぶ金の鎖のように見える、とても美しい姿です。


国会議事堂
Parlament (Országház)

国家の家
国会議事堂はブダペストのシンボルの1つです。20世紀初頭に完成して以来、ハンガリーの国会が開かれる場として常に国政の中心にあります。建物は折衷主義様式でシュタインドル・イムレ[Steindl Imre]によって設計され、例えば鍛鉄の門扉の透かし細工、彫像など、外装の至る所にハンガリーの優れた芸術家の手になる作品が見られます。
建物内部も一見の価値があります。各部屋はフレスコ画、彫像そしてふんだんに用いられた金箔で飾られています。「キューポラの間[Kupolaterem]」には戴冠の宝物である王冠、剣、笏、宝珠が展示されています。
英語ガイド付き見学ツアーは所要時間約50分、開館時間中10時、12時、13時、14時、15時に国会議事堂ビジターセンターから始まります。このツアーで上記「キューポラの間」と戴冠の宝物、ラウンジ、会議場、そして壮麗な階段の間全てをご覧いただけます。
Webサイト:www.parlament.hu(英語)
住所:Budapest, V. ker. Kossuth Lajos tér 1-3.
開館時間(ガイドツアーでのみ入場可能)

4月1日から10月31日:月〜金8:00〜18:00、土〜日8:00〜16:00

11月1日から3月31日:月〜日8:00〜16:00

チケットはhttp://www.jegymester.hu/(英語)からオンライン購入も可能です


マルギット島
Margit-sziget

安らぎとインスピレーションの島
長さ2.5キロメートルのマルギット島は、ハンガリー王ベーラIV世の娘であり、後に聖人となったマルギット(1252〜71)から名付けられました。現在はブダペスト市内でも有数のレクリエーション・スポットです。木立の中の心地よい散歩をすれば、野外音楽堂、フランシスコ派教会の遺跡や、テルマール・ホテルにたどり着きます。その名の通りその温泉はローマ人以来利用されています。
またハヨーシュ・アルフレード競技用プール(屋内プールが1つ、屋外プールが2つ)、パラティヌス・シュトランド(波のプールを楽しんでみませんか)、音楽噴水などもありますし、かの大詩人アラニュ・ヤーノシュに倣って、この島の雰囲気からインスピレーションを受けて詩を作ってみてはいかがでしょうか?


英雄広場
Hősök tere

大いなる者たち
世界遺産アンドラーシ通りの突き当たりに1896年の定住1千年を記念して英雄広場が建設されました。広場内中心には第2次世界大戦戦没者慰霊碑が、その後ろには、ハンガリー人をこの地に導いた部族の首長であるアールパードの騎馬像が立っています。さらに戦争・平和・学問・労働を象徴する4体の像が立ち、また35メートルの柱の上に大天使ガブリエルが立っています。さたに、その背後の扇形の列中には、14人の歴代王や政治家、芸術家などの像が建っています。


ヴァイダフニャド城
Vajdahunyad vára

19世紀のテーマパーク
ヴァイダフニャド城は小さい島にある建物の集合で、ハンガリー建国1000年記念の際に建てられ、ハンガリー建築の1000年を反映しています。20近い建物と彫像が歴史的ハンガリーの各地域の個々の様式で作られましたが、多くはトランシルヴァニアの芸術的作品の複製です。他にもバロック様式の邸宅が造られ、現在は農業博物館となっています。
住所:Budapest, XIV. ker. (Városliget)
開館時間:4月1日〜10月31日 毎日10:00〜17:00、11月1日〜3月31日 土日のみ10:00〜17:00


ミレニウミ・フルダラッティ【地下鉄1号線】
Millenniumi földalatti

地下のお宝
ヨーロッパ大陸最古の、地表の道路すぐ下の浅いところを走る地下鉄です。ブダペスト市街中心部から市内最大のレクリエーション・レジャースポットである市民公園までの世界遺産区間を15分以下で結ぶ、理想的な区間で運行されており、ほとんどの駅は美しいタイル張りとなっています。
またデアーク・フェレンツ広場駅にある地下鉄博物館にある旧型車両もぜひご覧下さい。その中には悪名高い【国王専用車両」も展示されています。


ハンガリー国立歌劇場
Magyar Állami Operaház

クラシック音楽の殿堂
ハンガリーは300年間オペラの伝統を積み重ねてきましたが、19世紀末にイブル・ミクローシュ[Ybl Miklós]の設計によるこの歌劇場が完成するまでは、別の「劇場」で上演されていました。ブダペストの文化がもっとも発展し、開花したのは19世紀末のことでした。ですから、この歌劇場は開設当初から、現在と同様に広いレパートリーを誇り、バレエ作品の初演も行われました。大理石の階段、嵌め込み細工の床、絹で覆われた壁、金と深紅を基調とした内装は、開設当時から変わりませんが、当然のことながら何度も改修されています。その歴史を通じて常に最先端の技術を備えていました。
例えば(ウイーン国立歌劇場の火災を受けて)1895年に電灯が設置されましたが、電線はそれまで用いられていたガス管を通したために、建物を大きく壊す必要はありませんでした。また舞台の迫りと呼ばれる可動機構は100年間水圧式の機械で動かしていました。そしてすでに「エアコン」がありました(地下室に氷の貯蔵庫が備わっていたのです)。ある改修工事の後、歌劇場は音を失ってしまいました。つまり音響が悪くなってしまったのです。後で判明したことですが、改修工事の時に座席の下に麦わらが敷き詰められているのが見つかりましたが、工事後取り払われてしまいました。そしてそれが音響を奪ってしまったのです。そこで再度座席を取り払い、麦わらを戻したところ、元の響きに戻ったそうです。歌劇場内のガイドツアーでは、建物の「裏」の場所へもご案内します(例えば舞台裏へもご案内できます)。もちろん公演をご覧になることもお勧めいたします。
Webサイト: www.jegymester.hu/(英語)
住所:Budapest, VI. Andrássy u. 22.
開館時間:月〜土11:00〜17:00、日11:00〜13:00、16:00〜19:00
www.operavisit.hu
ガイドツアー(英語):毎日15:00および16:00から 
月水土には同じ時刻で日本語ツアーも催行されます。


聖イシュトヴァーン大聖堂
Szent István Bazilika

Ego sum via veritas et vita【我は道であり真実であり生命である】
ブダペスト最大の教会であり、ネオルネサンス・新古典派様式で建てられました。市街中心部の美しい広場にあり、内部にあるモザイク、絵画、彫像など豊富な芸術作品は、建設当時の19世紀末をリードするハンガリー人芸術家の手によるものです。
名前の由来はここに保管されている重要な聖遺物にあります。ハンガリー初代国王、聖イシュトヴァーン王の右腕のミイラがそれです(主祭壇の後ろ、「聖なる右腕礼拝堂」に展示されています)。大聖堂で過ごす時間がおありでしたら、展望台へ上ってみれば、ブダペスト(そしてハンガリー最大の鐘)の眺めをお楽しみいただけます。(冬季閉鎖)
また宝物庫とクリプタ【地下納骨堂】もぜひご覧下さい。ここには20世紀で最も名の知られたハンガリー人、サッカー選手のプシュカーシュ・フェレンツ[Puskás Ferenc]も埋葬されています。聖堂内の音響も評価が高く、演奏会も開催されていますので、どうぞお楽しみ下さい。
Webサイト:www.basilica.hu (ハンガリー語のみ)
住所:Budapest, V. ker. Szent István tér
ガイド付き見学ツアー開始時間:月〜金11:00、14:00、15:30、土11:00より展望台は4月〜10月まで


リスト・フェレンツ音楽院(ゼネアカデーミア)
Liszt Ferenc Zeneművészeti Egyetem (Zeneakadémia)

目で楽しむシンフォニー
リスト・フェレンツ音楽院、通称ゼネアカデーミアは、少なくとも2つの方法で評価することができます。リスト自身によって1875年に開設され、現在の建物は1904〜07年に建築されたものです。クラシックやジャズ・コンサートの会場として1200人収容の大ホールを備え、その音響の素晴らしさには定評があり、バルトーク、コダーイ、クルターグ、シフ・アンドラーシュなど、その舞台に出演した音楽家は数えきれません。
一方で見事な装飾が施された建物そのものも一見の価値があります。色ガラスのモザイク、フレスコ画、ジョルナイのタイルを駆使し、ハンガリーのアール・ヌーボー建築の代表でもあるのです。一番のお勧めは、目と耳の両方で同時に堪能されることです!
Webサイト:www.zeneakademia.hu
住所:Budapest, VI. ker. Liszt Ferenc tér 8.


ドハーニ通りジナゴーグ
Dohány utcai zsinagóga

ユダヤ人たちの心
ヨーロッパ最大、世界でも第2の大きさのジナゴーグがブダペストの中心にあります。建物の規模(収容人数6000人)は、第2次世界大戦前ハンガリーのユダヤ人人口の規模を物語っています。ロマネスク様式を基本として、東方的(イスラム教のモスクのような、あるいはビザンツ様式、ムーア建築の要素など)建築要素が織り込まれた、独創的で美しい建物となっています。
ジナゴーグは正面をエルサレムに向けなければならないため、建物の前にスペースを空けることとなりました(つまり道路から逸れるように建てられました)。この建物はかつてゲットー(ユダヤ人居住地区)入口の門とされ、第2次世界大戦中にはこの周囲の通り(そしてジナゴーグそのものの中)に何千人という人々が暮らすことを余儀なくされました。建物内にはオルガンも設置されており、コンサート会場としての可能性をさらに大きなものとしています(例えば、夏のユダヤ・フェスティバルなど)。
住所:Budapest, VII. ker. Dohány u. 2

開館時間:4月2日〜10月31日の間(冬期は建物の大きさから暖房が困難なため、信仰活動はヴェッシェレーニ通りの建物で行われています)