"赤と白と緑"

"赤と白と緑"
ハンガリーは3つの酒飲み文化(ドイツ=チェコ=英国のビールの伝統、イタリアのワイン文化、ロシアのウオッカ狂い)の「るつぼ」であり、だからハンガ リー人はいつであろうとどんな酒でも飲んでしまうとは、よく言われる冗談です。しかし実際にはまず第1にワインの土地なのです。ワインの生産は古代ローマ 時代に始まりました。19世紀の寄生虫フィロキセラによる危機も、40年間の共産主義も、質の高いワイン生産の伝統をハンガリーから奪うことはできません でした。

現在10万ヘクタール以上のぶどう畑から、毎年50万キロリットルのワインが生産されています。白ぶどう、赤ぶどうともに種類の多さは、ハンガリー種と輸 入種のぶどう畑の驚くべき混在をもたらします。白ワイン用では例えばフルミント[Furmint]、キラーイレアーニカ[Királyleányka]、 ハールシュレヴェリュー[Hárslevelű]、オラスリーズリング[Olaszrízling]、赤ワイン用ではケークフランコシュ [Kékfrankos]、カダルカ[Kadarka]、ソーヴィニヨン[Sauvignon]、シャルドネ[Chardonnay]、ピノ・ノワール [Pinot Noir]などが広い地域で栽培されています。気候と土の特性から、ハンガリーのワイン産地ごとの違いは大変幅広いもので、それがワインの質の高さと種類 の豊富さという結果をもたらします。

22 のワイン産地のうち、まず第1に挙げられるべきは世界遺産でもあるトカイ[Tokaj]でしょう。ルイXIV世によって「ワインの王」と賞賛された極甘口 の白ワインは、ボトリティス・キネレア[Botrytis cinerea]という貴腐菌がついたぶどう(貴腐ぶどう)から作られる貴腐ワインです。バラトン湖周辺地域[Balaton borvidék]も白ワインで有名です。この地域のぶどうは、中央ヨーロッパ最大の湖、バラトン湖の水面で反射され、倍増する日射量で熟します。エゲル [Eger]はその味に定評あるブレンド赤ワイン、ビカヴェール[Bikavér]で有名です。

地中海性気候のヴィッラーニュ[Villány]の赤ワインは、疑いようもなくハンガリーワインの中で最もフルボディなワインであり、タンニン、アルコー ル、エッセンスの含有量の高さが特徴です。ショムロー[Somló]の辛口の白ワインは、伝説を信じれば男の子を授ける力があるそうです。

ハンガリーワインを試す場所は、居酒屋だけでなく、ワイン醸造所でも可能です。醸造家と直接会って、豪華な食事と一緒に召し上がることができるのです。ま たワインツアーへ参加してみるのも楽しいものです。例えば南バラトン地方へのワインツアーでは、ワインセラー、ぶどう畑、ワイン博物館を訪れます。

2011年9月で第16回を迎え、4万人の来場者を記録したブダペスト・ワイン・スパークリングワイン・国際フェスティバルにお越しになれば、90の出品者による第1級のワインをテイスティングできます。

バラトン湖周辺のワイン産地
borvidékek Balaton környékén

ワインには真実がある
バラトン湖周辺はハンガリーで最も重要なワイン産地の1つです。この地へ最初にぶどうの木を植えたのはローマ人たちでした。その後19世紀に寄生虫フィロ キセラによる危機もありましたが、バラトン湖地域は変わらず高品質のワイン醸造が盛んです。当地域のワイン醸造家たちは、最先端の技術に加え、伝統の保存 もその使命と考えています。

バラトン湖地域のそれぞれの地区(バダチョニュ[Badacsony]、バラトンボグラール[Balatonboglár]、バラトンフェルヴィデーク [Balatonfelvidék]、バラトンフュレド=チョパク[Balatonfüred-Csopak])は、皆バラトン湖の恵みを分かち合ってい ます。それぞれの局地的な気候は湖水の温度によって穏やかなものとなり、さらには輻射熱として知られる現象があります。これは太陽光が水面に反射される 「反射日射」と呼ばれる現象によって、日射量が倍増するという特徴があります。

バダチョニュ地区の火山岩地帯は良質な白ワインとバラトン湖を一望する風景を提供します。バラトンフェルヴィデークの特産ぶどうはオラスリズリング [Olaszrizling]、ケークニェルー[Kéknyelű]、そしてピノ・グリ[Pinot Gris]です。この地区特産のワインをテイスティングされるのなら、セレムレイ・セラー[Szeremley pincészet]が最適です。そのぶどう畑はバラトンフェルヴィデーク国立公園にあり、醸造されるワインは数え切れないほどの賞を受賞しています。

また落ち着いた本当の小さな村を訪れたいのであれば、イシュトヴァンディ・セラー[Istvándy pincészet]がおすすめです。ここではこの地域全てのワインのテイスティングが可能です。特別なワインをお望みなら、サースィ・ワイナリー [Szászi borászat]の有機ワインのテイスティングはいかがでしょうか。味は言うに及ばず、全ての過程で「有機農法」を採用しています。

バラトン・チョパク地区には、風光明媚なティハニ半島の素晴らしい赤ワイン(メルロー、ツヴェイゲルト、カベルネ・フラン)が皆様をお待ちしております。 パラトン湖南部にあるバラトン・ボグラール地区の砂地は、北部のそれとは根本的に異なるフルーティなワインを生み出します。こうしたワインをお飲みいただ けるのは地元のレストランだけではありません。

8 月中旬に開催されるバラトンフレド・ワイン・フェスティバルにぜひお越し下さい。あるいは南バラトン・ワインツアーに参加されれば、ワインセラー、ぶどう 畑、ワイン博物館へとご案内いたします。この地域で生産されるワインは、上記の他にケークニェルー[Kéknyelű]、オラスリズリング [Olaszrízling]、リズリングスィルヴァーニ[Rizlingszilváni]、オットネル・ムシュコターイ[Ottonel Muskotály; Muscat Ottonel]、トラミニ、ライン・リースリング、またハンガリー種としてユファルク[Juhfark]、チェルセギ・フーセレシュ [Cserszegi fűszeres]、ショムローヘジ・ワイン[Somló-hegyi borok]などがあります。特に後者はかつて「初夜のワイン」と呼ばれ、飲むと男の子が生まれると広く信じられていたものです。どうぞお試し下さい!

Webサイト:www.balaton.hu (borturizmus の項をご覧下さい)

トカイ・ワイン
Tokaji borok
"VINUM REGNUM REX VINORUM!"
そうルイXIV世は最初にトカイ・ワインを味わった時に言ったそうです("王のワインにしてワインの王!")。ワイン産地のトカイ地方はブダペストから東 に200キロメートルの所にあり、歴史的文化的地域としてユネスコ世界遺産に登録されており、世界に名だたるトカイ・ワインの故郷です。

貴腐ぶどうをハンガリー語で「アスー」といいますが、手で一粒ずつ収穫されて、その名の通り「トカイ・アスー」としてこの第1級のワインに独特の甘みをも たらします。トカイ・ワインには貴腐ぶどうを選別せずに作るサモロドニ[Szamorodni] というワインもあります。こちらもぜひお試し下さい。

フレッチ
Fröccs
フレッチとは辛口の白またはロゼワインを炭酸水で割ったものです(炭酸水を発明したのはハンガリー人イェドリク・アーニョシュ[Jedlik Ányos]なのはご存じですか?)。

ワインと炭酸水の割合は、人によって好みが違いますが、それぞれ名前が付けられています:ハーズメシュテル(マスターの意、ワイン3:炭酸水2)、キシュ フレッチまたはレヴィドレーペーシュ(小フレッチ、ショート・ステップ、ワイン1:炭酸水1)、ホッスーレーペーシュ(ロング・ステップ、ワイン1:炭酸 水 2)、ビヴァイチョーク(水牛のキス、ワイン4:炭酸水1)、クルーディ(ハンガリー人小説家の名前から、ワイン9:炭酸水1)等々。また冬にはホット・ ワインもお試しあれ!

ホット・ワイン
Forralt bor
クリスマスに向けて熱い1杯を
野外で開催される、クリスマス市では、誰もがホット・ワインを求めます。この熱くスパイシーな飲み物(シナモン、クローブ、粒コショウを入れて暖めたワイ ン)を飲めば、気分もしゃきっとしますし、その心地よく高揚した気分でクリスマス前の買い物という大仕事を乗り切りましょう。さらに杯を重ねていけば、買 い物のことを頭から追い払ってしまうでしょうし、またすぐに空腹を感じるようになるでしょう。その場合はクリスマスの食べ物として代表的な、マーコシュ・ グバはいかがでしょうか?